超発掘本
おちくぼ姫
田辺聖子(著)
角川文庫
【推薦者】高橋あづさ/未来屋書店名取店 (宮城県)
●推薦コメント
品出しの作業中に、ふとタイトルに目が行きました。そして、高校時代に読んだこの作品の思い出が蘇ってきました。
高3の受験生時代、なぜか自宅の本棚にあったこの作品をたまたま読んだのです。そして、その直後に受けた模試の古文の問題文が「落窪物語」。読みたてほやほやの私は淀みなく解答することが出来、なんと古文だけ満点を取るという偉業を達成させたのです。そんなことから、おちくぼ姫は私にとって特別な存在になりました。しかし大人になってすっかり忘れていた私に、本当に突然また姿を現しました。言うなれば運命の再会です。
改めて読み返してみると、今流行りの和製シンデレラストーリーではないですか。しかも、単行本の初版は私とほぼ同い年。それだけの年数が経っているにも関わらず、文章が全く色褪せていない。これぞ名作だと言える作品です。古典文学はハードルが高いけれど、このような現代語訳されたものから世界観を感じるのも素敵な体験になると思います。