2021年 第18回

2020年12月~2021年4月実施

2021年本屋大賞結果発表

第18回目となる2021年本屋大賞は2020年12月から一次投票を開始。一次投票には全国の438書店より書店員546人、二次投票では305書店、書店員355人もの投票がありました。二次投票ではノミネート作品をすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票しました。
その結果、2021年本屋大賞に『52ヘルツのクジラたち』町田その子(中央公論新社)が決まりました。

なお5位『自転しながら公転する』と6位『八月の銀の雪』は総得点が同じでしたが、得点内訳にて1位票数の得票状況によりこの順位となりました。

大賞

365.5点

52ヘルツのクジラたち

町田 そのこ(著)

中央公論新社

52ヘルツのクジラたち

  • 2位

    287.5点

    お探し物は図書室まで

    青山 美智子(著)

    ポプラ社

    お探し物は図書室まで

  • 3位

    286.5点

    犬がいた季節

    伊吹 有喜(著)

    双葉社

    犬がいた季節

  • 4位

    248.0点

    逆ソクラテス

    伊坂 幸太郎(著)

    集英社

    逆ソクラテス

  • 5位

    227.5点

    自転しながら公転する

    山本 文緒(著)

    新潮社

    自転しながら公転する

  • 6位

    227.5点

    八月の銀の雪

    伊与原 新(著)

    新潮社

    八月の銀の雪

  • 7位

    223.5点

    滅びの前のシャングリラ

    凪良 ゆう(著)

    中央公論新社

    滅びの前のシャングリラ

  • 8位

    169.5点

    オルタネート

    加藤シゲアキ(著)

    新潮社

    オルタネート

  • 9位

    139.5点

    推し、燃ゆ

    宇佐見りん(著)

    河出書房新社

    推し、燃ゆ

  • 10位

    132.5点

    この本を盗む者は

    深緑 野分(著)

    KADOKAWA

    この本を盗む者は

翻訳小説部門

10回目となる本屋大賞「翻訳小説部門」。2019年12月1日から2020年11月30日までに発行された新訳を含む翻訳小説の中から「これぞ!」という本を選び投票したもの。
第1位には、『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ(著)、友廣 純(訳)、早川書房が選ばれました。

1位

ザリガニの鳴くところ

ディーリア・オーエンズ(著)

友廣 純(訳)

早川書房

ザリガニの鳴くところ

  • 2位

    神さまの貨物

    ジャン=クロード・グランベール(著)

    河野万里子(訳)

    ポプラ社

    神さまの貨物

  • 3位

    あの本は読まれているか

    ラーラ・プレスコット(著)

    吉澤康子(訳)

    東京創元社

    あの本は読まれているか

発掘部門

洋の東西、ジャンル、さらに刊行の新旧を問わず、書店員が「売りたい」と思った本、常日頃から思っている本を推薦。バラエティ豊かな本が集まりました。

【発掘部門とは】
ジャンルを問わず、2019年11月30日以前に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本をエントリー書店員が一人1冊選びました。さらにその中から、これは!と共感した1冊を実行委員会が選出し「超発掘本!」として発表しました。

超発掘本

ない仕事の作り方

みうらじゅん(著)

文春文庫

【推薦者】脊戸真由美/丸善博多店(福岡県)

ナイ、ナイ、ナイ、恋じゃない♪ナイ、ナイ、ナイ、仕事がない!
ちょうど一年前のこと。博多駅ビルに入っているうちの書店は、緊急事態宣言を受けて休業することが決まりました。「明日からよろしく」職場から電話がかかってきて、あっさりと何もない1ヶ月半がスタート。最初は「あっ、明日食べようと思ってロッカーに入れといたお菓子が腐る…」くらいの感想しかありませんでした。とはいえ、自宅謹慎では発散しきれないありあまる体力を消耗してやり過ごすべく、アテもない散歩という名の徘徊を、密を避けながら続けました。すると、とめどない不安にかられ、眠れなくなるハメに。立地により開いてる書店は通常営業、しかもかなり客数も増えてるようだ、ということに気づいたのです。一方、こちらは週に一度出勤して、お客さんのいない店で誰も買えない新刊を出す。一冊も売れてないのに次の新刊が届く。涙がでてきました。「まずい、まずいやろ、まずくない?ウチの店大丈夫?どうすればいい?不安。ふあんタスティック!」
頭に浮かんだのは「仕事がナイなら、作ればいいジャナイ」。いまこそこの本を読み直すとき。ゆるキャラ、マイブームなど数々の流行語を生み出してきたMJ(みうらじゅん)流のかなりどうかしている仕事の作り方です。

いままで誰も気に留めてなかったモノ・コトに注目し、これと決めたら、それが好きでたまらないのである、と自分を洗脳し、周囲が無視できないほどの異様な熱で、この人どうかしてる、と思わせるプレゼンをすることで、数々の仕事を作ってきたMJ。

巻末の糸井重里さんとのスペシャル対談で、糸井さんは、「みうらが拾わなくなったら、ただの風景に戻る。拾うからなにかになるんだ」と言います。わたしの周囲にも、きっと見落としてるものがあるのでしょう。下を向いて歩こうと思いました。

ププッと笑っているうちに、なんとかなるんじゃないかという気になってくる。のけぞるほど熱くどうかしているこの本を読めば、ショボい日だったとしても「でも、そこがいいんじゃない!」と面白がれる。明日もきっとどうにかなる。そう思えてくるのです。

●著者
みうらじゅん

●お礼のことば
 今回は発掘していただき、ありがとうございます。しかも“超発掘”だということで、大変、御苦労をおかけしました。
 それにあやかって、今後、みうらじゅん改め、ミイラジュンにしてもいいなと思っています。
 1980年に一応、漫画家としてデビューしましたが、以降、世間的には何をしているのかよくわからない変人でやってきました。
 たしか『「ない仕事」の作り方』は、そんな僕がデビュー35周年を迎えて、もう一度、自分が何をしてきたのかを再確認するために企画した本だったと思います。
 はじめから“ない仕事”を目指した覚えはありませんし、出来れば“ある仕事”に就きたかった。しかし僕には、何かに夢中になると、つい“ない”ものを“ある”ように言ってしまう妄想癖がありました。それは、クラスメイトに「仏像ブームが来る!」と言い張って止まなかった小学生の頃から一向に治りません。
 気が付くと、“ある仕事”から“ない仕事”にシフトしていました。問題はそれをどう“ある仕事”に見せるかです。そのためには、“僕が”という主語を“それが”に変え、より多くの理解を得られることが肝心です。
“ない仕事”とは、そうやって生まれてきたものでした。
 賞に選んでくださった方々に改めて感謝の意を述べさせていただき、ミイラジュンの話は終わりといたします。ありがとうございました。

ない仕事の作り方

本の雑誌増刊 『本屋大賞2021』

編者 ●本の雑誌編集部
刊行 ●2021年4月14日
定価 ●660円(税込み)

第18回目を迎えた本屋大賞のすべてを網羅した発表号! 大賞作品の発表から受賞の言葉、二次投票、一次投票、発掘部門に翻訳小説部門を完全紹介。

書店店頭フェア

各書店さんで行われている「本屋大賞フェア」の様子を写真でご紹介します。
随時、フェア開催の模様をご紹介します。お店の写真をNPO本屋大賞までお送り下さい。

三洋堂書店新開橋店

名古屋市瑞穂区新開町18−22

三洋堂書店新開橋店

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