超発掘本
錯覚の科学
クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ(著)
木村 博江(訳)
文春文庫
長江貴士/さわや書店フェザン店
●推薦コメント
「文庫X」をスタートさせた当初、「文庫Y」でもやろうか、なんていう声を受けて漠然と頭に思い浮かべていたのが本書だ。何故この作品なのか。それは、「文庫X」と同じく、生きていく上で誰もが知っておくべきことが書かれた1冊だと感じたからだ。
本書では、人間の視覚・記憶・知識・自信などがどれほどあてにならないかを、歴史的に有名な心理学の実験を紹介しながら明らかにしていく。これらは、日常生活における行動や決断などに無視できない影響をもたらす。人間は、どれだけ意識していてもミスを犯す。それらは、意識ではコントロールできない「錯覚」によるものかもしれない。人間の限界を知る上で、本書は全人類必読だ。本書の衝撃を体感するためにまず、YouTubeで「selective attention test」と検索して出てきた動画を見て欲しい。人間の視覚がいかに頼りなくあてにならないかが、すぐに実感できるだろう。
洋の東西、ジャンル、さらに刊行の新旧を問わず、書店員が「売りたい」と思った本、常日頃から思っている本を推薦。バラエティ豊かな本が集まりました。
【発掘部門とは】
ジャンルを問わず、2015年11月30日以前に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本をエントリー書店員が一人1冊選びました。さらにその中から、これは!と共感した1冊を実行委員会が選出し「超発掘本!」として発表しました。